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お金と塩


お金と塩

塩はスパイスのようなものだと思っていた。

塩を加えれば風味が増す、そう思っていた。

けれど今は、それは少し違うと感じている。


塩はスパイスではなく、ミネラルだ。

食べ物に与える影響も、スパイスとはまったく違う。


スパイスは新しい風味を加えるもの。

一方で塩は、食材がもともと持っている味を引き立てるものだ。


塩は、他のどんなものよりも風味に大きく影響する。

塩がなければ、食べ物はどこか物足りないものになる。


逆に、ほんの少しの塩で、味は一気に生きてくる。


この塩の役割は、お金にもよく似ている。


お金がなければ、人生はどこか制限されたものになる。

でも、ほんの少しのお金で、体験はぐっと豊かになることがある。


僕の家は、裕福な家庭ではなかった。

両親が離婚する前は、それなりの暮らしだったと思う。

けれど、離れて暮らすようになってから、生活は一変した。


毎月、光熱費や家賃は払えるのか。

部活の遠征費は出せるのか

。遊びに行きたくても、お金がない。

携帯代も払えず、支払いを待ってもらうこともあった。


今思えば、不自由なことは多かった。


それでも、あの頃の自分は、「自分は貧しい」と感じたことは一度もなかった。


周りには、心から信頼できる友達がいたし、困ったときに手を差し伸べてくれる人もいた。

あの時にできた繋がりは、今でも続いている。


人間関係や、幸せを感じることに、必ずしもお金が必要なわけではない。

それを教えてくれたのは、あの時の環境だったと思う。


ただ今は、その友達や大切な人たちと、旅行に行ったり、食べたいものを食べたり、お祝いをしたりできる。


「やりたいのにできない」ではなく、

「やりたいことをやれる」。


その選択ができることは、やっぱり嬉しい。


もちろん、お金があればすべてが満たされるわけではない。

それでも、多くの経験の質を高めてくれるのは事実だと思う。


ただし、塩と同じで、お金にも“適量”がある。


使いすぎた塩が料理を台無しにするように、

お金に執着しすぎると、人生のバランスは崩れてしまう。


そして何より、塩だけあっても料理にはならないように、

お金だけあっても人生は満たされない。


友人や家族との関係、健康、時間、そして自分がどう生きたいか。

そういうものがあって、はじめてお金は意味を持つ。


お皿いっぱいの塩があっても、一緒に食べるものがなければ意味がないのと同じだ。

大切なのは、お金も塩も、「何かと一緒にあることで価値を持つ」ということだと思う。



 
 
 

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