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「名言よりも、想いのある言葉を」


言葉というものは、時代を越えて生き続ける。

偉人の名言が今も引用され、心に刺さり続けるのは、その人物が偉大だったからなのか、それとも言葉自体に力があるからなのか——その境目はもう曖昧だ。


でも、ひとつだけ確信していることがある。

言葉が残るのは、その言葉に救われた誰かが、今度は自分も誰かの力になりたいと思って語り継いできたからだ。

心が救われた経験って、不思議と誰かへ返したくなる。

その優しさの連鎖こそが、言葉を時代の向こうまで連れていく。

どれだけ時代が変わっても、人を思う気持ちは普遍的だ。

美しい文章より、そこに宿った想いの方が強く響く。

気持ちが乗っていない言葉は、どれだけ整っていても心には届かない。

僕にも、ずっと大切にしている一言がある。


「努力するものは希望を語り、怠けるものは不満を語る」


誰の言葉なのかは本来別の人のものなんだと思う。

けれど僕にとっては、高校時代のトレーナーさんが、もがいていた自分へ向けてくれた“たった一言”だ。

空回りしていた当時の僕は、気持ちの行き場もわからず、どう頑張ればいいのかすら掴めなかった。そんな時にかけてもらったその言葉で、胸の奥に絡んでいたものがスッとほどけた。頑張る理由も、立ち位置も、これから見るべき方向も、はっきりと見えた。


それからの僕は、立ち止まるたびにこの言葉を思い出す。

「怠けてる。もう一歩いこう」そうやって自分を奮い立たせて、今日まで積み重ねてきた。

そして思う。この言葉だけじゃない。

僕はこれまでいろんな場面で、本当に多くの人から多くの言葉をもらってきた。

その度に救われ、何度も前に進む力をもらった。


今になってわかるのは、どの言葉も、みんな僕のことを思ってかけてくれたものだということ。それに気づいた瞬間、その言葉たちはただの励ましでも名言でもなく、“想いが宿った贈り物”のように感じられる。


だからこそ、今度は自分の番だと思う。

あの時の僕がしてもらったように、誰かが迷った時、つまずいた時、心が折れそうな時に、そっと背中に手を添えられるような言葉を渡せる人でありたい。


もらった想いを、また次へ繋いでいく。

それが、自分なりの恩返しなのかもしれない。


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