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「なぜあの人は平然と努力を続けられるのか」


努力が続かない理由は、意思が弱いからでも、根性が足りないからでもない。


絵を描くのが大好きだった子がいた。

その純粋な気持ちを応援したくて、お菓子やお小遣いといった“報酬”を渡した。

けれど報酬をやめた瞬間、その子は絵を描くことをやめてしまった。


最初はただ好きでやっていたことが、いつの間にか“もらうための義務”へと変わってしまっていた。


外から与えるご褒美は、ときに努力の楽しさを奪う。

行為そのものの喜びを、条件つきの作業へと変えてしまう。


そして脳はこう学習する。

やる気とは、外から与えられるものだ。


だから外的報酬を与えれば与えるほど、内側のエネルギーは枯れていく。

あなたが「続かない」と感じてしまうのは、怠けているからではない。

脳が“報酬のない努力は価値がない”と誤解しているだけだ。


努力の後にケーキを置けば、努力は“ケーキのための行為”としてしか扱われない。

ご褒美がなければ努力は意味を失う──脳はそう判断してしまう。


これが、努力が続かない仕組み。


では、努力を続けられる人は何が違うのか。

一つだけ決定的な違いがある。

努力そのものの中にドーパミンを見つけていることだ。

成果を得た瞬間の快感ではなく、“やっている今”に快楽を見いだしている。

この感覚をつかんだ人は、努力を我慢だと思っていない。

挑戦しているその瞬間に、すでにドーパミンが出ている。

それが“続けられる人の脳の仕組み”だ。


反対に、努力を「後のご褒美のための犠牲」として扱っている限り、脳は今を“苦痛”としてしか認識できない。


ところが──努力そのものが自分への報酬だと再定義した瞬間、脳の回路は切り替わる。

努力は苦行から燃料へと変わり、行動が自然に積み重なっていく。

これは才能でも根性でもない。

誰にでも起こせる変化だ。


ここで少し考えてほしい。

あなたは“努力している人”を思い浮かべたとき、誰が浮かぶだろう。

成功している人でも、身近な誰かでもいい。

でもきっと、こう言うはずだ。

その人に「そんなに努力できてすごいね」と言えば、笑いながらこう返してくるだろう。

「いや、楽しんでるだけで、そんなに努力してないよ」 と。


大谷翔平選手も同じことを言っている。

努力をしている感覚すらない。

“挑戦している今そのもの”が、もう楽しいのだ。


成功している人たちには共通点がある。

努力を我慢ではなく、喜びに変換できていること。

その脳の使い方が、行動を続ける原動力になっている。


とはいえ──「わかっていても動けない」「やる気を出そうとしても続かない」

そう感じているあなたへ。

安心してほしい。

それはあなたが怠けているからではない。

「頑張らなきゃ」「サボっちゃダメ」

そんなふうに自分を叱りつけるたび、その言葉が脳に“痛みの信号”を送ってしまっている。

自分の意志ではなく、“言葉”こそが脳を間違った方向に引っ張っている。

だからこそ大切なのは、結果ではなく、過程へと視点を戻すこと。

脳はあなたの言葉を“現実”として処理する。

「きつい」「無理だ」とつぶやけば、脳は痛みに備えて行動を止めようとする。

でも、言葉を少し変えるだけでいい。

「今はきつい。でもこれは成長の証だ。」

「逃げてない。自分でこの痛みを選んでいる。」

その一言が、脳に新しい信号を送り、努力そのものを報酬として扱い始める。


外からご褒美を与えなくても、“自分の内側で熱をつくれるやる気”が育っていく。

やる気は出すものではなく、育てるもの。

その始まりは、あなたがそっと繰り出す、たった一言。


その小さな言葉が、努力を苦しみから熱へと変え、あなたの日々を静かに、確かに前へ進めていく。


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